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新時代の働き方とは?— V+C代表の新著『WORK + LIFE』が提案する未来

10 1月 2025

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Veldhoen + Companyの代表、Roel Geenenがこのたび新著『Work + Life』を出版しました。

Roelは過去に日本で開催されたセミナーに登壇し、またV+Cブログでのインタビュー記事を通じて、グローバルな視点から日本の働き方についても言及してきました。今回の著書では、これまでの経験を基に、働き方の未来や最新のトレンドについて深く掘り下げています。新著の出版にあたり、Roelへのインタビューを実施しましたので、その内容をぜひご覧ください。

関連記事:V+C代表が語るABWの本質 ~Veldhoen+Companyインタビュー vol.3~

 


 

Roel Geenen は、大規模組織向けに柔軟でハイブリッドな働き方や、時間・場所にとらわれないワークスタイルを提案する専門コンサルタントであり、組織戦略の分野で25年以上の経験を有しています。

Veldhoen + Company のマネージングパートナーとして戦略・イノベーションをリードする Roel は、「新しい働き方」の進化を探求し続けてきました。彼の取り組みは、テクノロジーと人間の行動を結びつけ、個人や組織が活性化する空間やシステムを創出することを目指しています。

著書 『Work + Life』 では、Activity Based Working(ABW)、アジャイル、革新的なコラボレーションといった概念を基に、働き方の未来についての深い洞察と実践的な経験を共有しています。これらのアプローチは、従来のオフィス文化を根本から変革する可能性を秘めています。

実践的な知見とグローバルな視点を活かし、Roel はプロフェッショナルとプライベートの調和を実現するための人間中心の戦略を提案します。協働、適応性、そして自己リーダーシップの持つ変革力を信じる彼のアプローチは、読者に新しい働き方とライフスタイルを考えるきっかけを与えるでしょう。

Q. 書籍執筆を決意した瞬間について教えてください。

Roel: 今から15年前、Veldhoen + Company の若手コンサルタントたちは、従来とは異なるやり方を模索していました。(当時、V+C は一人のリーダーが率いていました)。

その時の焦点は、主にコンセプト開発とデザインにありました。しかし、私はそれに加えて、チェンジマネジメントや個人的な関係構築、コラボレーション、プロセス全体のガイドが不可欠だと考えていました。

創業者のエリック・ヴェルデホーエンは、若い世代を会社に引き留めたいと考え、最も意見が活発だった若手コンサルタントの私とヨープ・マイヤースに、週1日を独立研究に充てる機会を与えてくれました。そのテーマは「新しい働き方が生産性に与える影響」でした。

当初6か月の予定だったこのプロジェクトは、1年半にも及ぶインパクト研究に発展し、この本の基礎となりました。

Q. この本の構想には10年以上かかっているんですね。この本は誰に向けたものですか?

Roel: HR、オフィス不動産、IT、施設管理、そして内部アドバイザリーを担当するすべての方々に向けたものです。

本書の特徴は、その包括的なアプローチにあります。内容の60%は、「新しい働き方」やチェンジマネジメントにおける統合的・全体的な視点に焦点を当てており、特に「人」にフォーカスしています。

Q. 新しい働き方への移行でよくある落とし穴は何ですか?

Roel: 最大の誤解の一つは非常にシンプルです。多くの組織が「新しい働き方(NWoW)」に着手する際、それを組織の戦略や中長期的な目標と結びつけていないことです。

プロジェクトやプログラムを進める中で、組織の行動パターンを変える必要性をあまり感じていないことが多いです。

最初の段階では、建築環境やITの導入、デジタル化など、実務的な要素やツールに焦点を当てがちです。

Q. この誤解に対して本書ではどのようにアプローチしていますか?

Roel: 第2章と第3章では、目標や主要な影響領域、そして協力における重要なステップについて明確に解説しています。

私たちは基本に立ち返ります。

  • 組織の変革とは何か?
  • 何をする必要があるのか?
  • 「新しい働き方(NWoW)」におけるパラメータと重点領域は何か?

新しい働き方と組織変革を結びつけることで、新しいルーチンの構築など、非常に大きな付加価値が生まれます。ただし、それには努力が必要です。

 

Q. この変革を検討中のリーダーに対して、どのような実践的アドバイスがありますか?

Roel: 第4章では、COVID-19から得た教訓を取り上げています。「新しい働き方」は、単なるオフィスデザインや環境の刷新を目指すものではありません。それは、施設管理、IT、HR など、さまざまなステークホルダーが関与する広範囲で影響力を持つ変革です。

本書におけるアドバイスの一つは、「働き方の変革を継続的に管理できる統合的で支援的な組織」を構築することです。

もう一つのアドバイスは、チーム合意を形成する際に、個々の利害を十分に意識することです。パンデミック後、個人の関心事は、働き方やチームプロセス、そしてウェルビーイングの一部として完全に組み込まれています。これを無視する選択肢はなく、より対話的で包括的なリーダーシップが求められます。

Q. 書籍の執筆プロセスについて教えてください。

Roel: Veldhoen + Company のマネジメント業務と私生活を両立させながら執筆するため、時間を意識的に確保する必要がありました。

その間、思いついたアイデアを記録するために、小さなノートを常に携帯していました。夜やクライアントとの会話中に浮かんだアイデアを書き留め、それを週末に半日から1日かけてストーリーラインを練る時間に活かしました。昨年は、ドイツやギリシャで数日間集中して執筆し、アイデアを整理して繋げる時間を作りました。

『Work + Life』は働き方のトレンドに焦点を当てた実践的な本ですが、最終的には「働く」ことの全体像を示すものです。私の経験と学びを凝縮してまとめた内容です。

Q. 本書の執筆で最も驚いたことは何ですか?

Roel: 2023年に5章まで書き終えた後、過去12年間の物語を基に、トレンドを見つけ出すことに挑戦しました。第1章では、新しい働き方の歴史について触れています。

R&Dチームと一緒に発見したのは、90年代から始まったトレンドの方向性が現在も続いているということです。同じ方向に進んでいる15のトレンドがあることがわかり、それは驚きであり、同時に励みでもありました。この発見をもとに、第5章では「新しい働き方の未来」について描くことができました。

パンデミックは多くの場面で破壊的な影響を与えましたが、働き方のトレンドに関しては、むしろその進行を加速させる役割を果たしました。

Q. ワークプレイスにおけるテクノロジーの役割について、どのように進化していくと考えていますか?

Roel: 本書では、過去数十年のトレンドを「ブリック(物理環境)」「バイト(デジタル技術)」「行動」という3つのカテゴリーに分けて解説しています。

携帯電話やノートパソコン、どこでも働けるアプリケーション、さらにはタスクを自動化するAIの能力などが登場し、情報共有や単純作業の削減がより効率的になりました。AIは今後、知識を統合し、誰とどのように働くべきかを教えてくれるようになるでしょう。

以前は個人が意識的に選択していたことが、今後はAIに依存する部分が増えていくと予測しています。テクノロジーへの依存度は、ますます高まるでしょう。

Q. ワークプレイス戦略について新たな視点を与えてくれた本はありますか?

Roel: 本書には広範な参考図書リストを掲載しています。その中でも特に役立つ本として、『Keys to Effective Leadership』やスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』、さらにナシーム・ニコラス・タレブの『アンチフラジャイル』を挙げておきます。これらは、組織変革に関わるすべての人にとって必読だと考えています。

Q. 時間をさかのぼって自分自身にアドバイスできるとしたら、何を伝えますか?また当時の自分はそのアドバイスを聞き入れたと思いますか?

Roel: Veldhoen + Companyを引き継ぐ際、私たちは世界で最も最先端の「新しい働き方(NWoW)」プロジェクトに絞って取り組むことを決めました。オランダ国内のローカルなプロジェクトを増やす代わりに、この大胆な選択をしました。

振り返ると、これは非常に冒険的なアプローチでしたが、学んだことは「自分にとって上限というものはない」ということです。自分へのアドバイスをするなら、「十分に良い」と思える瞬間を見極めることの重要性を伝えたいですね。この考え方は執筆プロセスにも当てはまります。

2020年、取締役の一人が本の原稿を読んで、「ロエル、今こそ出版すべきだ」と言ってくれました。彼は、このままでは本が棚上げになってしまうことを理解しており、私に最後の数章を書き上げるよう促してくれました。

Q. ワークプレイス戦略の分野で、どのような遺産を残したいですか?

Roel: 私は、組織が「新しい働き方(NWoW)」プロジェクトに対して、より包括的な視点を持つよう刺激を与えたいと考えています。

プロジェクトを深く掘り下げ、それを最適な形で導入するための十分な時間を確保してほしいと思います。本書は、この複雑なプロセスを支援するためにあります。次の新しい働き方プロジェクトを決定し、定義するのに役立つでしょう。

Q. 現代のワークプレイスの運営について、1つ変えられるとしたら何を変えますか?

Roel: 私たちにとって「オフィス」は目的ではなく、単なる実務的なツールです。

本質的に重要なのは、組織が目指す変革そのものです。2030年に向けて、組織がどのような形で機能すべきかを基にした慎重で包括的なアプローチを取ることを期待しています。インスピレーションが必要なら第5章を、リサーチが必要なら第2章を、そして優先順位付けに悩むならぜひ私たちにご相談ください。

Q. あなたにとって "WORK" という言葉を一言で表すとしたら?

Roel: 好奇心です。

未来の働き方がどのようなものになるのかは誰にもわかりませんが、進化する「働き方」のトレンドを調べ、未来的なシナリオを描くのは非常に興味深いことです。何が変化し、どのように進化し、何を学んだのか、そしてそれが私たちの組織にとってどのように適合するのかを探るのです。

新しい働き方:柔軟な未来のための働き方を再定義する

「新しい働き方(NWoW)」は一時的なトレンドではなく、仕事の進め方や働く場所、そしてそれが私たちの生活とどのように結びつくかを根本的に変えるものです。柔軟性、ウェルビーイング、テクノロジー、そして継続的な学びに焦点を当てることで、私たちはクライアントが従業員の成長を促し、生産性を高め、イノベーションを生み出す環境を作る手助けをしてきました。

これから先、働き方の未来はすでに始まっており、従業員の変化するニーズとテクノロジーによって生まれる新しい機会が、その形を作り出しています。これは単なる一時的な適応ではなく、働き方を今後にわたって再定義する持続的な変革です。

30年以上の専門知識をもとに、Roelはアジャイル手法やパンデミックの影響といった働き方を再形成するトレンドを探り、急速に変化する世界で組織が成功するためのシンプルで効果的なモデルを提案しています。事例が豊富に盛り込まれた『Work + Life』は、柔軟で未来に対応できる職場を作るための明確なロードマップを提供します。

私たちはお客様と協力し、ワーカーの働き方が豊かになるスペースと人のつながりを通じて、組織の一員として誇りを持って働くことができる独自の文化と環境の構築をサポートします。