Skip to content

Life at V+Cシリーズ:ANZ地域のシニアコンサルタント オーウェン・ヒギンズ

31 10月 2023

Subscribe to Our Updates

Veldhoen + Company(以下、V+C)で働くコンサルタントを紹介するLife at V+Cシリーズ。今回はオーストラリア・ニュージーランド(ANZ)のシニアコンサルタント兼事業成長責任者を務めるオーウェン・ヒギンズさんに焦点を当てます。

オーウェンさんは2019年にV+Cに入社。しかし、彼がアクティビティ・ベースド・ワーキング (ABW) に初めて触れたのは、前職のPfizerでオーストラリア・ニュージーランド地域におけるビジネスオペレーションリーダーとして同社の働き方改革を担当したときでした。

今回のインタビューでは、多国籍企業のさまざまな階層においてABWを導入した経験や、現在シニアコンサルタントとして”行動優先 (behaviour-first)”のアプローチに焦点を置いて活動しているきっかけなど、オーウェンさんが持つ好奇心について深堀りします。また彼が「変革」という言葉を嫌う理由など、彼の哲学にも触れていきます。

Q. ABWと出会ったきっかけを教えてください。

最初の出会いは、私が前職でPfizerのビジネスオペレーションリーダーを務めていたときでした。当時、製造施設が閉鎖され会社が必要とする以上のスペースが残ってしまったことをきっかけにオフィスを都市に移転し、新しい取り組みを試してみることにしました。それがアクティビティ・ベースド・ワーキング (ABW) でした。

当時の上司が私に言った「これはPfizerオーストラリア・ニュージーランドが行う最大の変革になるだろう」という言葉を今もよく覚えています。

私がプロジェクト事務局の一員で、チームの合意を取り決める上で重要なオフィスエチケットの整理・調整を行う役割を担いました。

この役割を通じて、2つのことを経験しました。1つは、ABWの行動変容の要素を現場で理解することができたこと、そしてもう1つは、このABWの行動的要素が経営陣からどのように認識され、社内のステークホルダー間でどのように展開されるかをプロジェクトの事務局の立場から見ることができたことです。

Q. 今の業務では多くの人に影響を与える機会があります。実際にオーウェンさんが影響を受けた優れたリーダーシップの例はありますか?

Pfizerでリーダーシップの世界に足を踏み込んだとき、あるリーダーが一般的なチームビルディングを超えて人のつながりについて考えていることに感銘を受けました。彼が考えていたのは「人のネットワークを構築すること − まず人間としてお互いを見て、それから機能的なリーダーシップや責任を持つ人々のつながりをどのように構築するか」ということでした。

これは、組織内で何か難しい課題や問題が起こったときに役立ちます。通常、私たちは人々の肩書きと彼らが所属する特定の部門の問題を結びつけてしまいがちです。人の人間的側面を見ないと、責任を押し付けることが容易になってしまいます。

人間的側面をお互いに知ることで、チームはタスクや成果物に基づくネットワークではなく、関係性に基づいたネットワークになります。これは、機能するチームというものに対する私の考え方に影響を与えました。これは「一度設定して忘れておける・放置できる」ようなものではなく、継続的な関係性のマネジメントが重要になるものです。

Eoin Puzzle piece 2-1 Eoin Puzzle piece 2

Q. ABWとの最初の出会いから、ABWに対する認識はどのように変わりましたか?

ABWに対する理解は深まりましたが、基礎の部分はABWを学んだ当初から理解しやすいもので、認識も今も変わっていません。

その1つは、ABWを通じて行う体系的な変革は基本的に可変である、ということです。私はこの言葉を軽々と使っているわけではありません。しばしばこの言葉が乱用され、その重みを失ってしまうと私は冗談交じりに言いますが、ABWはその言葉の意味が持つ意味に近づいています。

組織がABWを通じて自社独自の働き方を見つめ直す時、それは実存主義(巨大化・組織化される社会で人々が均一化する中、個別具体的な人間のあり方を見出す思想)的な瞬間です。

実存主義の提唱者によると、このような瞬間は人生において困難な状況のときに訪れるといいます。自分の世界観を見直し、どのように物事が進むのかを自問することで、実存的であると言えます。そうすることで、以前と物事はどのように異なっているかを考えるきっかけになります。

ABWへの移行も同様です。従来の働き方をしてきた人たち(従来の仕事のフローや構造に慣れてしまっている人たち)は、ABWという新しい働き方を受け入れる前に、今の自分の働き方を見直す必要があります。何を維持し、何を手放すのか、といった基礎的な質問に答えるのに良い機会となります。

私はクライアントのプロジェクトを担当する際、何が改善できるかをイメージしながら彼らに可能性を切り開いてもらうよう努力しています。多くの人は一度その恐れを乗り越えると、ABWには莫大な解放的要因があることに気付きます。彼らは、オフィスやデスクは必要なかったことに気づくのです。

Q. プロジェクトの中でクライアントの価値観を整理し有意義な変革に繋げるために、どのような活動を行っていますか?

私たちは組織の「ありたい姿」をクライアントと一緒に模索し、スペースの有効活用やフロア面積の削減といった表面的な目標を超えられるよう取り組みを行っています。   

ABWは「一緒にどのような組織にしたいのか」「それをどのように実現したいか」「何を一緒に実現したいか」といった、クライアントが一歩引いて考えるような問いを投げかけてくれます。

ABWは柔軟で方向転換のきく働き方のコンセプトであることから、組織や個人は常に異なる状態や人数構成で仕事を行えます。したがって、うまくいっているものは維持し、あまり機能していないものは排除する機会があるのです。 

戦略的な視点では、私たちは新しい働き方を通じて組織が達成したい目標・目的を特定します。すでに達成しようとしているものであってもサポート必要があることに変わりません。

その目標には数多くの企業に共通して、イノベーションを希望する声や組織のサイロ化の解決、または市場における企業ブランドの位置付けの変更、などがよく見受けられます。その上で働き方とは人間の行動がまず第一にくることを理解し、それから環境やテクノロジーがどのようにサポートできるかを考えるのです。

ただし、行動を簡単に分析することはできないため、組織は管理しやすく数値化しやすいものに頼るのです。建物(オフィス)やテクノロジーが仕事を完遂させるのに必要ですが、触れることのできない「文化的な要素」も同じくらい重要です。しかし、抽象的であるために短絡されることが多々あります。

そのため、私たちは組織内の既存の課題を活用し、働き方のコンサルタントとして、原則と実践(プラグマティズム)の間で自分の役割を見つけることが私の仕事となっています。

 

Q. 新しい働き方に対する哲学的な視点は興味深いです。オーウェンさんは今後哲学的なアプローチが一般化することを望んでいますか?

構造自体は複雑であるものの、リーダーシップ哲学やマネジメント哲学といった分野には、科学的なマネジメントとは異なる要素が含まれています。私は哲学と社会科学が組織のあり方を理解するのに適していると考えています。

私は、組織にもっと愛情豊かになってほしいと思っています。愛情や思いやりは時に柔さや弱さと見なされることがありますが、私はリーダーたち(その多くが女性)が愛情を持ってチームと接しているを見てきました。ときに結果を得るのが難しいことも承知して、彼らはこのアプローチを選択しているのだと私は気づきました。

多くの企業は、ワーカーが長期的な視点で何かしら成長し、自分自身を超える仕事をしたいと思っていることに気づき、この愛情豊かになるという考え方を徐々に取り入れるようになっています。

Eoin Puzzle Piece 3-1

Q. 以前受けたアドバイスの中で、日々の仕事に役立つと感じるものはありますか?

私のマネージャーであるマルタインが常に言っていることがあります。それは、変化に断固反対している人こそ、組織に対し最も献身的な人たちであるということです。

彼らは自分のデスクを手放したくないわけではありません。むしろ、それは組織への親しみの表れで、一種の情熱やエンゲージメントの形なのです。

Q. 自身の考え方に影響を与えた本はありますか?

『夜と霧』(ヴィクトル・エミール・フランクル著という美しい本です。この本は第二次世界大戦中に起きた出来事を扱っていますが、陰鬱な内容ではありません。著者はオーストリア生まれのユダヤ系精神科医で、アウシュビッツ収容所に収監されていました。  

彼は実存主義者で、収監された経験を通じて、自分の状況に意味を見出すことができる囚人はそれを理解できない者よりも生き残る可能性が高いと結論づけました。

私はこの本を読んで、私たちは意味を見出す機械であると確信しました。

チェンジマネジメントの中で、ABWが「クライアントやその従業員にとってどのような意味があるのか」を整理し明確にすることを行います。その中で私自身がその答え、すなわちABWが彼らにとって何を意味するのかというのを語ることはできないと思っています。

私たちができるのは、認識されていること、認識されていないこと、そしてその状況を提示することだけです。その意味を見つけるのは彼ら自身で行うべきものだと信じています。

Q. あなたにとってより良い働き方 (A BETTER WORLD OF WORK) とはどのようなものですか?

現代のナレッジベースなワークプレイスの文脈を考えると、より良い働き方とは人間性、思いやり、そして愛情を中心に置き、それらを通じて情熱や野心を導くことだと思います。

Connect with Eoin

AU - Eoin Higgins

Eoin Higgins

Senior Consultant & Head of Business Growth
Load More
私たちはお客様と協力し、ワーカーの働き方が豊かになるスペースと人のつながりを通じて、組織の一員として誇りを持って働くことができる独自の文化と環境の構築をサポートします。