30年前、まだGoogleも無線LANも普及していなかった時代に、IT技術の革新をいち早く予見して次世代のワークスタイルを提唱した企業があった。
アクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working、通称ABW)の創始者、ヴェルデホーエン社(VELDHOEN+COMPANY )だ。
これまで既にLEGO、IKEA、VOLVO、MSDなど数々のグローバルカンパニーがABWを導入し、組織の働き方を変革してきた。日本でも、政府が掲げている「働き方改革」の目的でもある生産性の向上と労働力の確保といった視点から、ABWに熱い視線が注がれている。
ABWとは働き方によって働く場所と時間、働く相手を自由に選択できる統合的なワークスタイル戦略だ。むしろ、働く場所と時間は業務内容によって選ぶ、といったほうがわかりやすいかもしれない。
実際のところ、「業務」と一口に言っても、社員それぞれが日々こなしている業務の内容は多岐に渡る。その業務内容によっては当然ながら働き方も変わってくる。
クライアントとのやりとりが主にメールによるものなのか、それともミーティングによるものなのか――それだけの違いを取ってみても、その業務に適した働き方が変わってくるのは当然のことだ。
ならば、社員それぞれが自分の業務に最適な場所、時間、そしてチームをデザインし、よりよい形で業務を実行していくことで、デスクや業務時間に束縛されない新しい働き方が生まれるというのがABWの基本的な理念だ。
ABWのパイオニアであるヴェルデホーエン社のアジア地区統括マネージャー、ヨランダ・ミーハン氏によれば、ABWは社員と企業の両方に数々のメリットをもたらすそうだ。
例えば、テレビ会議を行う場合は音響効果が遮断された個室のほうが集中できてより効率的だ。また、上司からのフィードバックをもらう場合は、ある程度プライバシーが保たれていて、かつお互いにリラックスできる環境が最適かもしれない。
働き方を自由に選択することで、協働作業が増えたり、業務プロセスそのものが簡素化されたり、生産性の向上が期待できる。さらには、個々の社員がより達成感を味わい、ポジティブな労働環境を作り上げられるとミーハン氏は説明している。
ABWは単に業務によって場所の移動を促進するだけではない。様々な働き方に適した空間設計は社員にとって魅力的ではあるが、それはABWを構成する3つの要素のうちのひとつに過ぎないのだ。
効果的なIT技術の導入、そして社員の意識改革、行動改革もABWには不可欠だ。「ワークプレイスデザイン」、「ITデザイン」、そして「行動デザイン」が三位一体となり、はじめて持続可能なABWが成立するのである。
オンラインクラウドやコラボレーションツールなど、だれでも・いつでも・どこでもの三拍子が揃った情報共有を可能にするITインフラなしではABWは成り立たない。
同時に、管理職が部下に自由な働き方を容認し、部下の仕事ぶりを信頼する必要があり、部下は与えられた業務をしっかりと果たす責任感を身につけなければいけない。そこにはアウトプットで成果を表がする、という新たな価値観も必要になってくる。
オープンプランやフリーアドレスと混同されがちなABWだが、これらのソリューションはマルチタスクができる場所を画一的に設けているだけであり、社員それぞれの働き方に添った選択肢が必ずしも増えるわけではない。ITデザインと行動デザインという目に見えない変革なくしては真のABWとは言えないのだ。
3つの要素から成り立つ真のABWを日本でいち早く導入したのが株式会社イトーキだ。2018年12月にグランドオープンした新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」は、ヴェルデホーエン社と共に構築したABWを体現しており、働き方の変化に伴って常に変革し続けている。
ヴェルデホーエン社との業務提携を経てITOKIが身をもって提案する次世代のワークスタイル。そこでは、社員ひとりひとりが組織の文化と価値観に共感しつつ、ダイナミックで自己進行型な働き方を自ら選択している。
より詳しい情報は こちらから。
なお、ITOKI TOKYO XORKでは見学も受けつけている。(個人の方、同業の方の見学はお断りしております。)